介護処遇改善手当とは?誰でももらえる?|受給の流れや支給額をくわしく解説

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介護職をされている方にとって、介護処遇改善手当のニュースは見逃せないですよね。今介護職で働かれている方も、これから介護職に就きたいと考えている方も、手当がどのようなものか気になると思います。

そこで今回は、介護処遇改善手当について、その内容や支給額など気になる点を詳しく解説していきます。

 

介護処遇改善手当とは

介護処遇改善手当(介護職員処遇改善加算)とは、厚生労働省による、介護職員の方の処遇改善を図るための制度のことです。

この制度が導入された2007年当時、介護職員の労働環境は良いものとは言えませんでした。職員の多くが短い期間で介護職を辞めてしまうこともあり、人材不足やサービスの質の低下が進んでいたため、手当を出して介護職員の待遇を良くすることで問題解決を図ったのです。

 

受け取れる金額

介護処遇改善手当で受け取れる金額は、厚生労働省の制定した以下の5つの区分によって異なります(介護職員一人当たりの金額)。

加算I 加算II 加算Ⅲ 加算Ⅳ 加算Ⅴ
月額37,000円相当 月額27,000円相当 月額15,000円相当 月額13,500円相当 月額12,000円相当
*キャリアパス要件Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの全て+職場環境等要件を満たす *キャリアパス要件Ⅰ及びⅡ   +職場環境等要件を満たす *キャリアパス要件ⅠまたはⅡ  +職場環境等要件を満たす *キャリアパス要件ⅠまたはⅡ、 または職場環境等要件のいずれかを満たす *キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ、   職場環境等要件のいずれも満たさない

(厚生労働省「介護職員処遇改善加算のご案内」より)

キャリアパス要件とは

  • キャリアパス要件Ⅰ:職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
  • キャリアパス要件Ⅱ:資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
  • キャリアパス要件Ⅲ:経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み、又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

【キャリアパス要件Ⅲによる昇給の仕組みの例】

  • 「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組み
  • 「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組み
  • 「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組み

職場環境等要件とは

賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取り組みを実施すること

 

新しい制度で手当の上乗せも

介護職員等特定処遇改善加算

2019年から新しく始まった制度です。これまでの介護処遇改善手当に上乗せされるという仕組みで、以下のように加算されます。

(厚生労働省「第168回社会保障審議会介護給付費分科会資料」より)

特定 加算Ⅰ 特定 加算Ⅱ
特定 加算Ⅰ 特定 加算Ⅱ
特定 加算Ⅰ 特定 加算Ⅱ
加算I 加算II 加算Ⅲ 加算Ⅳ 加算Ⅴ
*キャリアパス要件Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの全て+職場環境等要件を満たす *キャリアパス要件Ⅰ及びⅡ   +職場環境等要件を満たす *キャリアパス要件ⅠまたはⅡ  +職場環境等要件を満たす *キャリアパス要件ⅠまたはⅡ、 または職場環境等要件のいずれかを満たす *キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ、   職場環境等要件のいずれも満たさない

介護職員等特定処遇改善加算を受ける条件

  • 従来の処遇改善加算の(Ⅰ)から(Ⅲ)までを取得していること
  • 介護職員処遇改善加算の職場環境等要件に関し、「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」の各区分について、1つ以上の取組を⾏っていること
  • 介護職員処遇改善加算に基づく取組について、ホームページへの掲載等を通じた⾒える化を⾏っていること

以上の条件をクリアしていると、特定加算Ⅱを受けることができます。特定加算Ⅰの取得には、以下の条件が必要になります。

  • 事業所がサービス提供体制強化加算、特定事業所加算、日常生活継続支援加算、入居継続支援加算のいずれかを取得していること(ただしサービス提供体制強化加算は最も高い区分、特定事業所加算は従事者要件のある区分に限られる)

 

介護処遇改善手当を受け取る方法

介護処遇改善手当は、支給の方法にいくつかパターンがあります。

  • 基本給の金額を増やす
  • 賞与として反映する
  • 特別手当として支給する

以上のような支給方法の中から、管理者が方法や時期を選んで手当を支給します。

毎月安定して受け取ることはできる?

先述したとおり、介護処遇改善手当の支給方法や時期は管理者が決めているため、各事業所によって受け取れるタイミングや頻度が異なります。新たに就職する際などには、その事業所がどのように手当を支給しているのか確認しておくのが良いでしょう。

 

手当は誰でも受け取れる?

以下のような場合は、介護職員であっても介護処遇改善手当を受け取れません。

  • 自分が勤めている事業所が介護処遇改善加算を受け取っていない
  • 介護処遇改善手当を配分する際、事業所が選んだ配分対象に入っていない
  • 介護関係の事務所で働いているが、介護職ではない

このような場合は手当を受け取ることができません。自分の勤め先がどのような形で介護処遇改善加算を受け取っているのか、自分が手当を受け取ることはできるのか、しっかり確認しましょう。

 

介護処遇改善手当で介護職の状況は改善される?

介護職の課題

介護処遇改善手当は、介護職員の処遇を改善するために導入された政策です。現在の介護職の課題には、以下のようなものが挙げられます。

  • 賃金の低さ:やはり大きな問題としてあげられるのは賃金の低さです。介護職員の方は非正規での雇用も多く、正規社員と比べて低い賃金で働かなければいけない状況です。
  • 労働時間の長さ:介護職は休日出勤や夜勤なども必要な職業です。賃金と比べた時間的負担で考えても割に合わず、介護職員の方の不満は多いようです。
  • 肉体的・精神的な負担:利用者の身体介助など肉体的な業務が多い職業であるため、体への負担が大きいです。さらには、利用者が認知症や精神疾患であることも多いため、職員への精神的な負担も大きいと言われています。

処遇改善にはまだまだ問題も多い

介護処遇改善手当によって、多くの介護職員の方々の賃金が引き上がったことは事実です。しかし、介護職員の現状にはまだまだ課題があります。介護処遇改善手当はあくまでも処遇改善のための一つの取り組みであり、介護職員の方が満足できる処遇になるためには、政府や事業所が新たな対策を導入していくべきでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、介護処遇改善手当について解説しました。これまで、この手当がどのようなものか分からなかった方は、この記事を参考に自分への支給額を確認してみてください。

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