介護の業界で働いている方や働こうと考えている方、親族に高齢者がいる方などは、要介護認定について知っておきたいですよね。
この記事では、要介護認定の中でも特に要介護3について、具体的にどういった状態の方が当てはまるのか、どんなサービスを受けられるようになるのかなど、詳しく解説していきます。
要介護1、要介護4について知りたい、という方は以下の記事をご覧ください。
要介護認定とは
要介護3について解説する前にまず、要介護認定とは何か説明していきます。
○ 介護保険制度では、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護サービスを受けることができる。
○ この要介護状態や要支援状態にあるかどうか、その中でどの程度かの判定を行うのが要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ)であり、保険者である市町村に設置される介護認定審査会において判定される。
○ 要介護認定は介護サービスの給付額に結びつくことから、その基準については全国一律に客観的に定める。
(厚生労働省HPより引用)
認定までの流れ
要介護認定は、日常生活で介護が必要と判定された人が、介護サービスを受けられるようになることです。では、申請から認定まではどのような流れで進むのか、解説します。
まず、要介護認定は、介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するものです。従って、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。
(厚生労働省HPより引用)
上の図が、要介護認定までの流れを示すものです。
介護サービスを行う必要性を判定する際は、客観的で公平な判定を行うために、まずコンピュータによる一次判定を行い、それを元として、保健医療福祉の学識経験者5名程度で構成された「介護認定審査会」で二次判定を行います。
コンピュータでの一次判定
コンピュータによる判定では、その方の認定調査の結果をもとに、「1分間タイムスタディ・データ」から推計します。
「どれ位、介護サービスを行う必要があるか」の判断を正確に行うために、介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院されている3,500人の高齢者について、48時間の中でどのような介護サービス(お世話)がどれ位の時間にわたって行われたかを調べたデータ。
要介護3とは
要介護認定は、コンピュータによる客観的なデータに基づいて判定されます。そこから要支援1〜要介護5に振り分ける際には、五つの分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)について、要介護認定等基準時間を算出し、その時間と認知症加算の合計で判断します。
要支援1 | 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要支援2 要介護1 |
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護2 | 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護3 | 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護3の具体的な状態とは
要介護3の判定の基準はわかりましたが、では具体的にどういった状況を指すのかを説明します。
日常生活の中で「ほぼ全面的な」支援が必要となる状態
要介護3の状態を一言で表すと、日常生活の中で「ほぼ全面的な」支援が必要となる状態です。
例えば、着替えが一人でできなかったり、トイレや入浴に介助が必要であったり、生活に24時間介護を必要とする場合には、要介護3と判定されることが多いです。
また、要介護3以上になると、特別養護老人ホーム(特養)への入居が可能になるため、要介護3は要介護度の中で一つの節目として扱われます。
要介護2との違い
自立した生活を送れるかどうか
要介護3と要介護2の違いは、自立した生活を送れるかどうかです。
要介護3の判定を受ける方というのは、先ほども挙げたように、身体的な制約や認知機能の低下から、日常生活全般での支援が必要です。一方で、要介護2の状態でも、食事や入浴などの日常生活に一定の介助が必要になりますが、自己管理や生活能力はあり、比較的自立した生活が可能です。
要介護4との違い
日常生活のほとんどで介護が必要に
要介護3でも、日常生活の多くを支援してもらう必要がありますが、支援なしでできる行為もあります。一方、要介護4の認定を受ける方は、自力で立っていることも難しいほど、日常生活のほぼ全てにおいて介護が必要な状態です。
要介護3で受けられるサービス
要介護認定を受けると、利用できるサービスがいくつかありますので紹介します。
介護の相談・ケアプラン作成
居宅介護支援
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、ケアマネジャーが、利用者の心身の状況や置かれている環境に応じた介護サービスを利用するためのケアプランを作成し、そのプランに基づいて適切なサービスが提供されるよう、事業者や関係機関との連絡・調整を行います。
利用者の負担はありません。
自宅で受けられるサービス
訪問介護
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)をします。通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービスを提供する事業所もあります。
身体介護だと1回165円〜(20分未満)、生活援助だと1回181円〜(20分以上45分未満)で利用可能です。
自宅で受けられるサービスには、訪問介護の他にも訪問入浴や訪問看護などがあります。
施設に通って受けられるサービス
通所介護(デイサービス)
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。
施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供します。生活機能向上グループ活動などの高齢者同士の交流もあり、施設は利用者の自宅から施設までの送迎も行います。
要介護3の認定を受けた方は、1回の利用(7時間以上8時間未満)で883円の負担が必要です。
通いで受けられるサービスには、通所リハビリや認知症対応型通所介護などもあります。
施設で生活
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
入所者が可能な限り在宅復帰できることを念頭に、常に介護が必要な方の入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを提供します。
新たに入所する要介護1・2の方は、やむを得ない理由がある場合のみ利用できます。
施設サービス費や居住費・食費などが利用者負担となり、要介護3の場合の施設サービス費は1日695円〜776円です。
施設で生活するサービスには、他にも介護老人保健施設(老健)や介護療養型医療施設などもあります。
福祉用具を買う
福祉用具貸与
指定を受けた事業者が、利用者の心身の状況、希望及びその生活環境等をふまえ、適切な福祉用具を選ぶための援助・取り付け・調整などを行い、福祉用具を貸与します。
借りられるものは要介護度によって異なります。
要介護3の方が保険給付の対象となる品目
- 手すり
- スロープ
- 車いす及び付属品
- 歩行器
- 歩行補助杖
- 特殊寝台及び付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 移動用リフト
- 徘徊感知機器
利用者負担は、貸与に係る費用の1割(一定以上所得者の場合2割または3割)です。
要介護認定された人が受けられるサービスは、今回紹介したもの以外にも様々ありますので、より詳しく知りたい方は厚生労働省の介護サービス情報公表システムをご活用ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では、要介護3について、認定の条件から具体的な状態、受けられるサービスまで詳しく解説しました。要介護認定について知りたい方のお役に立てれば嬉しいです。
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