介護福祉士とは?|介護福祉士の仕事内容や給料、介護士との違いを解説

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介護の業界には、非常に多くの種類の資格があります。介護職員としてキャリアアップしたい人、これから介護職に就きたいと考えている人にとって、介護福祉士は気になるところかと思います。この記事では、主要な資格の一つである「介護福祉士」について、試験や仕事の内容、給料など詳しく解説していきます。ぜひ資格取得の参考にしてください!

 

介護福祉士とは

法律による定義

心身の状況に応じた介護を行う

介護福祉士については、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)により以下のように定義されています。

第2条第2項(介護福祉士の定義):専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰かくたん吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるものを含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者
この法律が制定された当時には、「入浴、排泄、食事その他の介護等を行う」というふうに定義されていましたが、平成19年の見直しで「心身の状況に応じた介護を行う」という定義の仕方に変わりました。介護福祉士の仕事が、単なる介助行為だけではないということが明記されたのです。さらに現在では、医療的ケア・医療行為の記述も加わっています。

唯一の国家資格

介護福祉士資格は、介護に係る一定の知識や技能を習得していることを証明する唯一の国家資格です。介護の世界には資格がたくさんありますが、介護福祉の専門職である介護福祉士が唯一の国家資格です。

介護は生活全般に関わる広範な仕事ですが、多くの人々は「介護」というと、おむつを交換するなどの排せつ介助やベッドから起こすなどの移乗介助、暑い浴室の中で行う入浴介助などをイメージしていると思います。

しかし、介護福祉士が行うのは、これらの介助を行いながら、介護ニーズのある方々の生活に向き合い、その方の生き方や生活全体の支援です。介護サービス利用者のニーズを、生活歴や観察を通して集約するとともに、その方の心身の状況等を理解したうえで、その方が、その方らしく生活を継続していくためには(生活の質を担保するためには)どのような課題があるか、いかにその課題に向き合っていくか等を分析し、多職種と連携しながら、環境の整備を行いつつ、その方に最適な介護を提供する役割を担っています。

(公益社団法人 日本介護福祉士会HPより引用)

介護現場における介護福祉士の役割は、ただ単に介護ニーズのある方への身体的介助だけでなく、生き方の支援にまで及びます。日々、その方にとっての最適な介護は何かを考える仕事なのですね。

 

介護福祉士国家試験の内容

資格取得の方法

介護福祉士の資格を取得するためには、以下の3つのルートのいずれかを通る必要があります。

養成施設を卒業する

指定された養成施設を卒業することで介護福祉士国家試験を受けられるようになります。

福祉系高校を卒業する

福祉系高校で、必要な科目・単位を取得して卒業すると、介護福祉士国家試験を受けられるようになります。

実務経験を積む

3年間の実務経験に加え、「実務者研修」を修了することで介護福祉士国家試験を受けられるようになります。

2016年度の制度改訂で、現在のようにどのルートでも必ず国家試験の受験が必要になりました。また、介護福祉士国家試験を受験した約90%が実務経験を積むルートの方だそうです。年齢関係なく誰でも、平等に介護福祉士を目指すことができます。

試験の概要

形態

  • 年1回試験(第1次試験(筆記試験)、第2次試験(実技試験))
  • 筆記試験については例年1月下旬、実技試験については例年3月上旬に実施。

筆記試験の科目

  • 領域:人間と社会
    • 人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解
  • 領域:介護
    • 介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程
  • 領域:こころとからだのしくみ
    • 発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、こころとからだのしくみ
  • 領域:医療的ケア
    • 医療的ケア
  • 総合問題(4領域の知識・技術について横断的に問う問題を、事例形式で出題)

実施機関

社会福祉士及び介護福祉士法第10条第1項の規定により厚生労働大臣が指定した(公財)社会福祉振興・試験センター(TEL:03-3486-7521)

手数料

○受験手数料積算根拠
18,380円
○登録手数料積算根拠
3,320円

試験の実施状況(令和2年度実施の第33回試験結果)

受験者 84,483 人、合格者 59,975 人(合格率71.0%

厚生労働省HPより引用)

第2次試験では実技試験もあるんですね。厚生労働省のHPにその内容は明記されていませんでしたが、合格率70%超えのところを見ると、介護を学ぶ人にとっては常識的な内容が出題されるのではないでしょうか。

また、「特例高校(専攻科を含む)を卒業し、9ヶ月以上介護等の業務に従事した方」「福祉系高校(専攻科を含む)を卒業した方(平成20年度以前の入学者)」「EPA介護福祉士候補者」「介護技術講習」を修了することで実技試験を免除できます。条件に当てはまる方は、試験前に必ず免除の申請をしましょう。

 

介護士との違い

資格の有無

介護福祉士と介護士の違いで大きいのはやはり資格の有無です。介護士は、資格がなくても介護関係の職場で働いていれば名乗ることができますが、介護福祉士は資格を取得できた人しか名乗ることができません。

業務内容

働く現場は介護士も介護福祉士も同じですが、業務の内容に違いがあります。食事や入浴、排せつ、移動の介助、清掃、洗濯、料理など、介助的な仕事はどちらも行いますが、医療行為や医療的ケアを行えるのは介護福祉士のみです。さらに、介護ニーズがある方の抱える問題を把握し、ケアプランを作成するといった高度な介護の知識が必要な仕事は、介護福祉士が行います。

給料

介護福祉士の平均給与は329,250円で、資格を持っていない介護士の平均給与は275,920円です(厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」より)。介護福祉士と介護士の給料の差は月約53,000円で、大きな差があることがわかります。

 

介護福祉士の仕事内容

身体介助

食事や入浴の介助であったり、排泄や服薬の介助など、当人の身体に関わる介助サービス全般のことです。介護職で最も行うことが多い仕事といえます。

生活援助

食事の支度や洗濯・掃除、買い物など、日常的な家事のことです。

社会活動支援

就労支援や社会参加支援など、介護を受ける人が社会から切り離されてしまわないためにサポートします。介護のイメージとは少し違う仕事ですが、「その人の人生の支援」には必要なことなのです。

チームマネジメント

国家資格である介護福祉士なので、チームの中でもリーダー的役割を担うことが多いです。これまでの経験や豊富な知識を活かして、施設全体の介護の質を上げることが求められます。

この他にも、介護を受ける人やその家族などからの相談を受けたり、適切に対応したりといった、相談窓口的な役割を担うこともあります。どの仕事内容でも、介護福祉士の持つ知識と経験が求められています。

 

介護福祉士になるメリット

職種の選択肢が広がる

人手不足が深刻化している介護業界で、介護福祉士は非常に貴重な人材です。介護士よりも持つ資格のレベルが高くなるので、自分の理想の条件に合った職場や職種を探しやすくなります。

収入が増える

先述したように、介護士と介護福祉士では平均月給に5万円以上の差があります。収入が増える分、働く時間を減らすことができ、自分の時間を作れるようにもなります。介護福祉士になることで、人生全体の自由度や充実度が増えるといえます。

スキルアップ・自己成長につながる

介護福祉士になるために必要な学習・講習をすることで、介護職員としてスキルアップすることができるでしょう。学んだ知識や経験を活かして、これまで以上の働きをすることもできます。介護職をこれからも続けていきたい方にとって、介護福祉士になることはメリットしかないと言っても過言ではありません。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の記事では、主要な資格の一つである「介護福祉士」について、試験や仕事の内容、給料など詳しく解説しました。

すでに介護士として働かれている方や、介護職に興味があるという方の参考になれば嬉しいです。

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