要介護1って何?|具体的な身体状態や受けられるサービスなどを解説

調査データ

介護の業界で働いている方や働こうと考えている方、親族に高齢者がいる方などは、要介護認定について知っておきたいですよね。

この記事では、要介護認定の中でも特に要介護1について、具体的にどういった状態の方が当てはまるのか、どんなサービスを受けられるようになるのかなど、詳しく解説していきます。

要介護4について知りたい、という方は以下の記事をご覧ください。

 

要介護認定とは

要介護1について解説する前にまず、要介護認定とは何か説明していきます。

○ 介護保険制度では、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態要支援状態)になった場合に、介護サービスを受けることができる。
○ この要介護状態や要支援状態にあるかどうか、その中でどの程度かの判定を行うのが要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ)であり、保険者である市町村に設置される介護認定審査会において判定される。
○ 要介護認定は介護サービスの給付額に結びつくことから、その基準については全国一律に客観的に定める。

厚生労働省HPより引用)

認定までの流れ

要介護認定は、日常生活で介護が必要と判定された人が、介護サービスを受けられるようになることです。では、申請から認定まではどのような流れで進むのか、解説します。

まず、要介護認定は、介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するものです。従って、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。

[例]認知症の進行に伴って、問題行動がおこることがあります。例えば、アルツハイマー型の認知症の方で、身体の状況が比較的良好であった場合、徘徊をはじめとする問題行動のために介護に要する手間が非常に多くかかることがあります。しかし、身体的な問題が発生して寝たきりである方に認知症の症状が加わった場合、病状としては進行していますが、徘徊等の問題行動は発生しないため、介護の総量としては大きく増えないことが考えられます。

厚生労働省HPより引用)

上の図が、要介護認定までの流れを示すものです。
介護サービスを行う必要性を判定する際は、客観的で公平な判定を行うために、まずコンピュータによる一次判定を行い、それを元として、保健医療福祉の学識経験者5名程度で構成された介護認定審査会」で二次判定を行います。

コンピュータでの一次判定

コンピュータによる判定では、その方の認定調査の結果をもとに、「1分間タイムスタディ・データ」から推計します。

1分間タイムスタディ・データとは
「どれ位、介護サービスを行う必要があるか」の判断を正確に行うために、介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院されている3,500人の高齢者について、48時間の中でどのような介護サービス(お世話)がどれ位の時間にわたって行われたかを調べたデータ。
このシステムでは、樹形モデルという方法を使い、認定調査の項目等ごとに選択肢を設け、調査結果に従ってそれぞれの高齢者を分類し、「1分間タイムスタディ・データ」の中からその心身の状況が最も近い高齢者のデータを探しだして、そのデータから要介護認定等基準時間を推計します。
厚生労働省HPより引用)

要介護1とは

要介護認定は、コンピュータによる客観的なデータに基づいて判定されます。そこから要支援1〜要介護5に振り分ける際には、五つの分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)について、要介護認定等基準時間を算出し、その時間と認知症加算の合計で判断します。

要支援1 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態
要支援2
要介護1
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護2 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護3 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護4 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態
ここで設定されている時間はあくまでも判定のためのものさしにすぎず、実際の介護の現場でかかる時間とは異なります。
要介護1は、要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態であることがわかります。基準で見ると、要支援2と同じところに分類されていますが、二つには違いがありますので後ほど解説します。

要介護1の具体的な状態とは

要介護1の判定の基準はわかりましたが、では具体的にどういった状況を指すのかを説明します。

日常生活の中で「一部」支援が必要となる状態

要介護1の状態を一言で表すと、日常生活の中で「一部」支援が必要となる状態です。

例えば、入浴や着替え、食事や排泄といった日常生活の一場面で、介助が必要となる状態の場合は、要介護1と判定されることが多いです。また、認知機能の低下により、迷子になる可能性がある場合なども含まれます。

要介護1の状態は1人でできることも多く、適切な支援を受けながらであれば、比較的自立した生活を送ることもできます。

要支援2との違い

先ほどの表にも合った通り、要介護1と要支援2の認定基準は同じであり、この二つの違いに疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。

認知症の有無や心身状態

要介護1と要支援2の違いは、認知症の有無や心身状態の変化です。
要介護認定基準時間が同じことからも分かるように、日常生活の一部で支援が必要な状態だということは共通していますが、認知症の可能性がある場合や、心身状態の乱れが見られ、要介護度が上がる可能性がある場合には、より介護度の高い要介護1と認定されます。

 

要介護1で受けられるサービス

要介護認定を受けると、利用できるサービスがいくつかありますので紹介します。

介護の相談・ケアプラン作成

居宅介護支援

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、ケアマネジャーが、利用者の心身の状況や置かれている環境に応じた介護サービスを利用するためのケアプランを作成し、そのプランに基づいて適切なサービスが提供されるよう、事業者や関係機関との連絡・調整を行います。
利用者の負担はありません。

自宅で受けられるサービス

訪問介護

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)をします。通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービスを提供する事業所もあります。

身体介護だと1回165円〜(20分未満)生活援助だと1回181円〜(20分以上45分未満)で利用可能です。

自宅で受けられるサービスには、訪問介護の他にも訪問入浴訪問看護などがあります。

施設に通って受けられるサービス

通所介護(デイサービス)

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。
施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供します。生活機能向上グループ活動などの高齢者同士の交流もあり、施設は利用者の自宅から施設までの送迎も行います。

要介護1の認定を受けた方は、1回の利用(7時間以上8時間未満)で645円の負担が必要です。

通いで受けられるサービスには、通所リハビリや認知症対応型通所介護などもあります。

施設で生活

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

入所者が可能な限り在宅復帰できることを念頭に、常に介護が必要な方の入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを提供します。

新たに入所する要介護1・2の方は、やむを得ない理由がある場合のみ利用できます。

施設サービス費や居住費・食費などが利用者負担となり、要介護1の場合の施設サービス費は1日600円前後です。

施設で生活するサービスには、他にも介護老人保健施設(老健)介護療養型医療施設などもあります。

福祉用具を買う

福祉用具貸与

指定を受けた事業者が、利用者の心身の状況、希望及びその生活環境等をふまえ、適切な福祉用具を選ぶための援助・取り付け・調整などを行い、福祉用具を貸与します。

借りられるものは要介護度によって異なり、要介護1の方が保険給付の対象となる品目は、手すりやスロープ、歩行器などです。

利用者負担は、貸与に係る費用の1割(一定以上所得者の場合2割または3割)です。

 

要介護認定された人が受けられるサービスは、今回紹介したもの以外にも様々ありますので、より詳しく知りたい方は厚生労働省の介護サービス情報公表システムをご活用ください。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。この記事では、要介護1について、認定の条件から具体的な状態、受けられるサービスまで詳しく解説しました。要介護認定について知りたい方のお役に立てれば嬉しいです。

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