老人ホームと介護施設の違いは?施設の種類、費用、快適性など丁寧に解説!

介護施設・老人ホーム

似たような意味で使われることの多い「老人ホーム」と「介護施設」という言葉。2つの言葉にどのような意味の違いがあるのでしょうか?

この記事では、2つの言葉の意味の違いから、それぞれの言葉が示す具体的な施設とその特徴について、詳しく解説していきます!

老人ホームと介護施設の違い

大きな違いは、介護サービスの有無

「老人ホーム」と「介護施設」。

どちらも高齢者の居住を想定した施設、または住宅を指しているのですが、介護施設は、介護サービスを受けることができる施設全般を言います。

  • 老人ホーム 「高齢者の居住を想定した施設、または住宅」
  • 介護施設  「介護サービスを受けながら高齢者が居住できる施設」

そのため、老人ホームの中には、介護サポートを必要としない高齢者の居住を対象にした住宅・施設も含まれています。

とはいえ、明確な定義はない

とはいえ、「老人ホーム」「介護施設」どちらの言葉も、公的に定義が定められている言葉ではなく、分かりやすさのために一般的に使われるようになった言葉です。

そのため、両者ともに明確な定義はなく、混同されて使われていたり、その言葉が示す意味範囲が大きく取られていることもしばしばあります。

老人ホーム・介護施設と分類される施設には、たくさんの種類があり、その特徴はまちまちです。ここからは、それぞれの老人ホーム・介護施設の種類、特徴について、詳しく見ていきたいと思います。

公的施設と民間施設

老人ホーム・介護施設は、公的施設と民間施設に大きく分類することができます。

公的施設

公的施設は名前の通り、その施設を設置した主体が自治体などの公的団体となっています。

そのため、比較的安価で入居できるといった特徴があります。

  • 公的施設の例…特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院 etc…

民間施設

一方の民間施設は、運営主体が民間企業であるため、入居にかかる費用はそのサービスの充実度や、居住空間の快適性などによって、大きく上下します。

  • 民間施設の例…グループホーム、サービス付高齢者住宅、有料老人ホーム etc…

それでは、具体的な施設の特徴について、詳しく見ていきましょう。

老人ホーム、介護施設の分類

老人ホーム、介護施設にはたくさんの種類があります。

下の表に代表的な施設の名称と、その特徴を1つにまとめました。

それぞれの施設の特徴について詳しく解説していきたいと思います!

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(通称:特養)は、65歳以上で身体的・精神的に自立することが困難な状態(要介護3以上)の方の入居を対象とした民間施設です。

特養は、看取り介護を基本としている施設がほとんどであり、基本的には終身で入居し、そこで一生を終える「終の棲家」となっています。

受けることのできる主なサービスとしては、食事、入浴、排泄、リハビリなど、生活に関わる介助を幅広く受けることができます。

要介護3については、こちらの記事で詳しく解説をしていますので、併せてご覧になってください。

要介護3ってどんな状態?|他の要介護度との違いや受けられるサービスなどを解説

介護老人保健施設

介護老人保健施設(通称:老健)を一言で表すと、「病院と自宅の中間施設」です。

老健は、比較的病状が安定している要介護の高齢者の方が、自宅復帰を目標に、生活に関わる介護サポートや、リハビリテーションを受けることのできる施設となっています。

あくまで自宅復帰を目的とした一時的な施設という位置付けであるため、入所期間は原則的に3〜6ヶ月と定められています。

介護医療院

介護医療院は、医療ケアを必要とする要介護高齢者の長期療養・生活のための施設とされています。

特養は、要介護高齢者の生活施設であり、日常生活での介護という部分に重点が置かれていたのに対し、介護医療院は、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護、その他必要な医療など、医療の側面に重きが置かれているという違いがあります。

介護医療院は医師が配置されており、介護に加えて医療的なケアを受けられることが特徴です。

医療ケアに重きを置いているという特性上、施設基準は病院に準じており、4床室の居住空間が一般的です。

参照:厚生労働省 介護医療院とは?

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)は、安否確認や生活支援サービスを受けることのできるバリアフリーに対応した賃貸住宅です。

あくまで賃貸住宅であるため、ある程度自立して生活することのできる高齢者の方の入居が想定されており、一般的な住宅と同様、自由度のある生活ができることが特徴です。スロープや手すりの設置など、高齢者の方が生活しやすいようなバリアフリー環境が用意されています。

自由度のある生活が送れることが魅力のサ高住ですが、一般的な賃貸住宅に比べて家賃が高いことや、仮に更なる介護が必要になって自立して生活できなくなった場合、退去せざるを得ないなどのデメリットもあります。

有料老人ホーム

有料老人ホームとは、様々なサービスによって高齢者の方が暮らしやすいように配慮された民間の施設になります。有料老人ホームは、受けることのできるサービスや入居対象者の違いなどによって「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類に分類されます。

介護付有料老人ホーム

介護付有料老人ホームは、有料老人ホームのなかでも、食事や入浴、排泄など、身の回りの介護サービスを受けることができる施設です。介護スタッフが常駐しており、24時間サービスを受けることができます。

運営主体が民間であるため、そのサービスの内容や費用には施設によって大きく差があるのが特徴です。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯などの生活支援サービスを受けることができる有料老人ホームです。入浴や排泄などの介護サービスは行わないという点に介護付有料老人ホームとの違いがあります。

もし介護が必要になった場合は、外部の訪問介護サービスを利用して老人ホームの中で介護を受けることができますが、老人ホームの入居費用にプラスして訪問介護サービスの料金がかかるため、費用が嵩んでしまう可能性があります。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームは、主に自立した生活を送ることができる高齢者の方、または介護の必要度が比較的低い高齢者の方を対象とした施設であり、食事や生活支援、施設内の娯楽設備でのレクリエーションなどのサービスを受けることができます。

ある程度自立した高齢者の方を入居者の対象としているため、万が一、要介護状態になった場合には、介護・医療サービスを受けることができる別の施設に移動する必要があります。

グループホーム

グループホームは、認知症の高齢者が、専門のスタッフの支援のもとで、少人数の共同生活を送る施設と定められています。

一般的な入居条件は、医師に認知症の診断を受けた、要支援2以上の65歳以上の方となっています。

入居者は、ユニットと呼ばれる5〜9人程度のグループを構成し、認知症介護に精通したスタッフのもとで共同生活を行い、それぞれの能力に応じて自立した生活を行います。

費用、過ごしやすさの比較

ここまで様々な老人ホーム・介護施設の特徴について詳しく見てきました。

ここまでで紹介した施設について、入居の対象、費用、居住空間の広さなどについて、以下の表で比較をしました。

公的施設の方が民間施設に比べて、入居の対象となる高齢者の方の要介護レベルが高いことがわかります。

また公的施設への入居にかかる費用は、一時金もなく、月額費用も民間施設に比べて安価になっています。一方、民間施設に関しては、多くの場合入居の際に一時金を支払う必要があります。また、民間施設は事業者によって受けることのできるサービスに大きく差があり、その分月額費用も施設ごとに大きく変動するのが特徴です。

居住空間の広さもそれぞれであり、個室、共有部付個室、4床室など部屋のパターンにもバリエーションがあります。

居住空間の快適性

ある程度の長い期間をその施設の中で過ごすことになるため、やはり気になるのは居住空間の快適性でしょう。

例えば、特別養護老人ホームをとってみると、従来は一つの大きな部屋の中に幾つかのベッドがあり、複数人で同じ部屋で生活をする多床室型が主流でしたが、近年では、ユニット型特養と呼ばれる、共有スペースを囲うように個人の部屋が並び、ユニットと呼ばれる少人数の単位で介護を行うようなケアの形が生まれています。

介護施設全体においても、従来の、病院のような無機質な居住空間の計画から脱し、より家庭的かつ、個人のプライバシーが尊重されるような居住空間を計画しようという大きな流れがあります。

まとめ

本記事では、老人ホームと介護施設の違いと、これらに分類される施設の特徴を解説、比較を行いました。

公営なのか民営なのか、入居の対象者はどのような人々なのか、費用はどれくらいかかるのか、などなど、施設ごとに様々な特徴があることが分かって頂けたかと思います。

現在のお体の状態、予算、などに合わせた適切な施設に入居することが最も重要ですので、本記事がそのリサーチの一助になれば幸いです。

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