訪問介護で散歩はサービス範囲外!|認められるケースは?

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訪問介護の中で、「散歩」についてきてほしいというお願いをされることがあります。しかし、そもそも「散歩」はサービスにあたって介護保険上認められているのでしょうか?

この記事では、訪問介護サービスの業務範囲について、厚生労働省の出している情報などから解説していきます。

 

趣味、娯楽、余暇のための支援は認められない

介護保険における訪問介護では、趣味や娯楽などの必ずしも必要にならないことに関するサービスを認めていません。そして、自治体が「散歩」はこれに該当すると判断する場合も多くあります。散歩は基本的に外出介助としては算定されないのです。各都道府県、あるいは市区町村のホームページなどを確認してみましょう。
しかし、もし自治体が「利用者に散歩が必要である」と判断した場合は可能になります。

介護保険の対象に含まれない事例

厚生労働省は、訪問介護サービスの生活援助の取り扱いについて、介護保険の生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例として以下を挙げています。

  1. 「直接本人の援助」に該当しない行為
  2. 「日常生活の援助」に該当しない行為

「直接本人の援助に該当しない」というのは、利用者の家族の分の食事を用意することや、主として利用者が使用する以外の部屋の掃除をすることはできないということです。

そして、「日常生活の援助に該当しない」というのは、

  • 訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為
  • 日常的な家事の範囲を超える行為

のことであると述べられていて、具体的には、庭の草むしりや犬の散歩、家具の移動、大掃除が挙げられています。散歩に関しても、「日常生活の援助」には該当しないとされてしまいます。

参考:厚生労働省|訪問介護サービスの生活援助の取り扱いについて

必要と認められれば保険対象に

以上のように、現在、日常生活において必須とは言えない行為については保険適用外とされていますが、平成21年に厚生労働省から発信された情報に、

サービス行為ごとの区分は、例示として示したものであり、適切なケアマネジメント
に基づくものであって、かつ保険者の個別具体的な判断により必要と認められるサー
ビスについては、保険給付の対象となります。

と記述されており、個々の利用者の状況等に応じた判断をするよう喚起しています。

例として「訪問介護員等の散歩の同行」もあげていて、例えば、ケアプランにおける目標を達成するために必要と判断された場合には、訪問介護費の支給対象となりうると明記されています。

参考:厚生労働省老健局振興課「適切な訪問介護サービス等の提供について」

 

散歩が「必要」と判断される場合の例

では、ケアプランの位置づけで散歩が必要と判断される場合というのは、具体的にどのような場合なのでしょうか。

身体機能の維持・改善

利用者が、デイサービスや訪問リハビリなどの他サービス利用が利用できず、かつ外出機会が少ない場合に、床ずれ予防や筋力強化などを目的として医師や介護職員が散歩を必要と判断した結果、散歩がケアプランに含まれる可能性があります。

意欲向上・ADL向上

散歩が、利用者のADL向上に非常に有効であると判断された場合、ケアプランに含まれることがあります。ADLとはActivities of Daily Livingの略で、日常的な動作のことです。

介護は自立支援を目的としており、散歩がその大きな手助けとして有効であると判断された場合は、ケアプランの位置づけで認められるかもしれません。

訪問介護サービスとして適用されない場合もある

ケアプランの位置づけとして認められた場合でも、介護保険としては算定されないケースがあります。例えば、利用者さんが途中から訪問リハビリなどに行けるようになった場合です。また、身体介護の算定上、散歩の時間が20分未満の場合もサービスとして認められません。

「散歩」自体を目的ではなく手段として活用することが認められるポイント!

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。「散歩」の付添いは基本的に介護保険上認められていませんが、利用者に必要であると判断された場合には対象として保険を適用することができます。また、認められない場合は、自費での負担にはなりますがサービスを利用することを検討するのも良いでしょう。

 

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