現在介護福祉士として働き、看護師への転職を考えている方にとって、科目の免除があるのかどうかや、どうやって試験を受ければよいのかは気になるところですよね。
この記事では、介護福祉士から看護師になるにはどうすればよいか、また、転職のメリットデメリットなどを解説していきます。
介護福祉士から看護師に転職するには
看護師は国家資格なので国家試験に合格しなければなることはできませんが、その国家試験を受けるには受験資格が必要です。そして、受験資格を得るには看護学校に通う必要がありますが、その細かいルートとしては、
- 4年制の看護系大学
- 3年制の看護短期大学
- 看護師養成所(専門学校)
- 5年一貫制の看護師養成課程校
の4つがあります。また、その中で、准看護師として働きながら目指すという選択もあります。
4年制の看護系大学
4年制の看護系大学で所定のカリキュラムを修了し、受験資格を得る方法です。時間と費用がかかることが難点ですが、大学であるため一般教養科目や保健師、助産師についても学ぶことができるというメリットがあります。
3年制の看護短期大学
3年制の短期大学で規定のカリキュラムを修了し、受験資格を得る方法です。こちらも一般教養科目などを学べますが、4年制に比べ時間が少ないため非常に忙しくなることが予想されます。また、看護の短期大学は少ないため、お住まいの地域から通える範囲にあるかどうかにも注意が必要です。
看護師養成所(専門学校)
看護師養成所(専門学校)に通い、修了することで受験資格を得る方法です。看護師に特化した学習カリキュラムで、4年制大学より短期間で、短期大学より忙しくなりすぎずに学べます。ほかのルートより社会人の学生が多いのも特徴で、介護福祉士からの転職として看護師を目指す人にとっては最も有力な選択肢になるでしょう。
5年一貫性の看護師養成課程校
これまでのルートは高卒以上である必要がありましたが、中卒の場合でも、5年一貫性の看護師養成課程校に通えば「高校3年分+看護学科2年分」の勉強ができます。高卒以上の場合は別のルートで資格取得を目指しましょう。
准看護師になる
准看護師として実務経験を積みながら看護師を目指す方法です。准看護師の仕事内容は看護師とほとんど変わりませんが、看護師の指示のもとでなければ医療行為を行うことはできません。
准看護師になるには准看護師養成校に2年通い、准看護師試験に合格しなければならないため、どちらにせよ学校に通わずにすぐ働くということはできません。しかし、准看護師になって、准看護師として実務経験を積みながら看護師養成校に通うことで、より実践的な知識やスキルを身に着けることができます。准看護師は国家資格ではなく、都道府県の認定を受けた資格です。准看護師の資格を取得した場合は、看護師養成所で2年(定時制で3年)学ぶことで国家試験の受験資格が得られます。
共通基礎課程制度によるカリキュラム免除
共通基礎課程制度とは、医療福祉系の教育課程を共通の知識として一部のカリキュラムを免除する制度で、厚生労働省で検討され、早ければ2021年度に実施見込みとされていましたが、2023年の現在でもまだ検討中の段階です。
しかし、この制度が実施されれば、通常看護師になるためには3年学ぶ必要があるのに対し、介護福祉士など医療福祉系資格を取得している場合は最短2年で看護師資格を取得することができます。
看護師国家試験について
試験科目
看護師国家試験の試験科目は以下の10科目です。
- 人体の構造と機能
- 疾病の成り立ちと回復の促進
- 健康支援と社会保障制度
- 基礎看護学
- 成人看護学
- 老年看護学
- 小児看護学
- 母性看護学
- 精神看護学
- 在宅看護論及び看護の統合と実践
出典:厚生労働省|看護師国家試験の執行|第112回看護師国家試験
試験形式、合格基準
試験はマークシート形式で、基本的には4肢択一形式で出題されます。
- 必修問題(50点)
- 一般問題
- 状況設定問題(一般問題と合わせて250点)
で構成され、全240問、300点満点です。必修問題の50点のうち40点以上点数をとれなければ、他の一般問題・状況設定問題で満点を取ろうとも不合格になります。また、試験ではどの問題が必修問題であるかも判別がつかないようになっているので注意が必要です。一般問題・状況設定問題については、おおよそ160~170点(得点率70%弱)が合格ラインになっています。
合格率
第111回看護師国家試験では、看護師の合格率は91.3%で、比較的合格率は高いといえるでしょう。
看護師の国家試験は「ただ優秀な人だけを選抜するための試験」なのではなく、「看護師として必要な最低限の知識を習得している人が合格できる試験」であり、受験生の90%程度が合格するよう基準が設けられています。しかし、出題は広範囲であり、知識の応用力を見る問題が増えていますし、もちろん不合格になる人もいるので、気を抜かずしっかり学習をして挑みましょう。
出典:厚生労働省|第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験及び第111回看護師国家試験の合格発表
看護師に転職するメリット・デメリット
転職するメリット
給与の向上
看護師の給与は一般的に介護福祉士よりも高いため、転職によって大きく給与を上げることができます。
令和4年度の平均年収は、介護福祉士が約363万円なのに対し、看護師は約508万円となっています。これは基本給だけではなく、夜勤手当などの各種手当、1年間で支給されたボーナスなども含めた総額であるため単純な比較はできませんが、介護福祉士の手取りは月に18万円〜20万円、看護師の手取りは月に26~28万円程度と考えるので、看護師への転職が給与の向上に大きくつながることは間違いないでしょう。
介護の経験を活かせる・スキルアップにつながる
看護師の仕事は治療をサポートするだけではなく、介護と同じように移動や更衣、食事などの介助といった身の回りの世話をすることもあるため、介護福祉士としての経験を活かして働くことができます。また、より幅広い医療知識と技術が求められる仕事でもありますので、専門性を高めた新たなスキルアップも望めます。
転職するデメリット
時間や労力がかかる
看護師になるには、看護学校での学習や国家試験の合格が必要であり、時間と労力を費やさなければならないため決してハードルが低いとは言えません。共通基礎課程制度が導入されればより短い時間で取得可能になりますが、この負担が大きいと感じる方には看護師への転職は難しいかもしれません。
夜勤がある・負荷が大きい
介護福祉士と同様に夜勤がある仕事なので、転職によって生活リズムの改善がしたいと考えている人にとっては看護師はおすすめできません。また、プライベートとの両立が難しいことや、命に関わる仕事としてのプレッシャーなど、介護福祉士よりも忙しさやストレスが増える可能性があります。
介護福祉士の方が身体介助などの体力的な負担がかかる業務が多いなど、もちろんどちらもそれぞれの大変さがありますが、どちらがより自分に合った働き方かを考える必要がありそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、介護福祉士が看護師に転職する方法や、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。共通基礎課程制度が導入されれば、もっと看護師への転職がしやすくなりそうです。介護福祉士から看護師への転職を考えている方は、それぞれのメリット・デメリットを確認したうえで判断しましょう!
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