ホームヘルパー(訪問介護員)とは?介護福祉士とは何が違うの?

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介護職に興味を持つ方は、ホームヘルパー・ヘルパーといった職業を耳にしたことがあるでしょう。具体的にどんな仕事なのか、介護福祉士とは何が違うのか、給与はどれくらいなのかなど、気になるポイントは多くあるかと思います。

この記事では、ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容・必要な資格・やりがい・給与・勤務先について詳しく説明していきますので、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント
  • 介護福祉士との違いは業務の幅広さ
  • ホームヘルパーは比較的に転職しやすい職種

ホームヘルパーとは

ヘルパー(ホームヘルパー)は、介護保険法にもとづいて高齢者や障がい者に対し訪問介護サービスを提供する専門職です。訪問介護員ともいいます。介護保険法において、訪問介護は国が定めた研修を修了した「訪問介護員」が行えることになっています。ここでいう、国が定めた研修の修了とは「介護職員初任者研修課程」を受講し、修了証明書の交付を受けることで、在宅・施設を問わず介護業務に従事しようとする者が対象となります。

 

介護職員初任者研修課程は国家資格ではないため特定の資格要件はなく、130時間の基礎知識・倫理・実務を学び、最後の試験に合格すれば取得できる民間資格です。(2013年に廃止されたホームヘルパー2級に相当します)

 

介護福祉士との違い

必要な資格の違い

一方、介護福祉士は介護職の唯一の国家資格のことで、最近からは法改正により年1回実施されている介護福祉士国家試験の合格が必須となりました。(2026年度までの間は経過措置として、指定養成施設卒業から5年間は暫定的に介護福祉士資格が付与され、その間に国家資格に合格するか連続して実務に従事することで引き続き介護福祉士資格を保持することができるとされています)資格取得までの流れは以下を参考にしてください。

出典:社会福祉振興・試験センター

介護福祉士は、介護の資格の中で最も上位に位置する資格です。この資格を取得すると、携われる介護業務の幅が大きく広がります。

ホームヘルパーの業務範囲外となる仕事内容には主に以下があります。

  1. ケアプラン作成
  2. 医療的ケア
  3. 心理的サポート
  4. 介護チームでの連携

これらは専門的なスキルや知識が必要なため、介護福祉士の資格を持たなければできない業務となっています。介護福祉士は、より総合的なケアの提供や、利用者それぞれの状態やニーズに合わせた個別な対応が求められるといえるでしょう。

介護福祉士の資格情報については以下の記事に詳しく記載しています。

介護福祉士になるために必要な資格とは?スキルアップに必要な資格と取得方法を紹介!

 

ホームヘルパーの仕事内容

ホームヘルパーは、決められた時間に、介護を必要とする高齢者や障がい者の自宅を訪問し、必要な介護サービスを行います。どんなサービスを行うかについては、あらかじめ、要介護の状況に合わせて利用者や家族との間で相談の上、ケアマネージャーやサービス提供責任者、介護福祉士などによって決定されています。

主な仕事内容は、大きく分けて2つあります。

身体介護

  • 排せつの介助
  • 食事の介助
  • 衣服の着脱
  • 身体の清拭
  • 入浴、シャワーの介助
  • 移動介助
  • 外出介助
  • 服薬介助

身体介護は、以上のような身体に直接触れて行う介助サービスと、その準備や片付けを含む全般のことをいいます。“身体介護の調理”は、身体介護の一環として行う治療食や流動食などの調理なので、身体介護に含まれます。(“生活援助の調理”は一般的な食事の調理で食事介助はしません)

生活援助

  • 食事の支度
  • 洗濯
  • 掃除
  • 買い物
  • 薬の受け取り

これらの、身体に直接触れない身の回りのお世話も重要な業務内容です。また、生活援助は介護を必要とする本人にのみ行うもので、本人に関わらない家事は含まれません。家政婦やお手伝いさんなどの家事代行と混同されがちですが、要介護者のための家事を行うだけで、同居家族の分の食事も用意したり、家族の部屋の掃除や家族の衣類の洗濯をしたりすることはありません。庭の草刈りや部屋の模様替えなどの大掛かりな家事も支援外となります。

あくまで要介護認定を受けた高齢者や障がい者のためのサービスなんだね

「自立」を意識した支援を

介護保険が目指すのは「自立支援」であり、できないことを代わりにやる、体を動かさなくていいようにするというわけではありません。自立支援は、利用者ができるだけ自分自身で日常生活を行い、自己の意思や選択に基づいた生活を送るために支援することです。

介護によって、利用者が身体的・精神的・社会的に健康で豊かな暮らしができるようにすることを目的としています。できることは自分で行い、できないことはできるようにヘルパーが支援をすることで、要介護度が進まず維持できる、そして今より軽くなることを目指します。

 

ホームヘルパーのやりがいや魅力

個別なサポートにより利用者の支えとなる

ホームヘルパーは、施設介護とは異なり利用者の自宅に訪問して業務を行うため、1:1の個別なサポートを行うことになります。利用者との関わりが非常に深く、コミュニケーションや信頼関係の構築を通じて直接感謝の言葉を言われることも多くあるでしょう。身体介護や日常生活の支援を通じて、利用者の生活に寄り添い支えることで、自分の仕事が意味を持っていると実感できるやりがいのある仕事です。

また、介護施設での勤務は、他のスタッフと協力して働くため、周囲から学んだり相談したりすることもできますが、基本的に1人で訪問し、1人でケアするホームヘルパーはそこにわずらわしさや不自由さを感じる人にとっては働きやすい環境でしょう。

無資格・未経験にチャンスがある

ホームヘルパーになるには最低限資格として介護職員初任者研修を修了する必要がありますが、3カ月程度で取得でき、無資格で訪問介護に転職する際には介護事業者が資格取得費用を負担してくれる場合もあるなど、無資格・未経験でも挑戦しやすい職業です。このようなサポートについては求人情報をチェックしてみましょう。

働き方が自由

ホームヘルパーは、正社員・正職員に加えて、パートや登録ヘルパーという働き方もできます。パートや登録ヘルパーの場合、勤務時間は自由に選べるので、自分に合った働き方が可能です。また、登録ヘルパーはダブルワーク(副業)が可能な場合が多く、短時間単位で働くこともできます。もちろん自宅に近い場所で働いている人は多く、お子さんがいたり、自ら介護をしていたり、別の仕事をしていたり、夢や趣味を大切にしていたりという人も、空いている時間に合わせて働きやすい職種といえるでしょう。

ホームヘルパーの営業時間は、平日の日中が中心ですが、最近では夜間や緊急時の対応を考えた“夜間対応型訪問介護”や“定期巡回・随時対応型訪問介護看護”といったサービスも増えていて、土日や早朝、夜間も対応する事業所もあります。

 

ホームヘルパーの平均給与

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2021年度の訪問介護事業所で働くホームヘルパーの平均給与額は、常勤で約31万円、非常勤で約20万円です。これは前年度より高くなっていて、高齢化により介護の需要が高まっていることを考えると、ホームヘルパーの給料は今後も上がっていくことが期待できるでしょう。

祉法人、NPO法人、保健福祉センター、病院、地方自治体など、さまざまな福祉施設で活躍することができます。社会福祉施設での就職を希望する場合、社会福祉士の資格は必須となっている場合が多いため、資格取得は就職に有利な要素となります。

 

 

ホームヘルパーの職場・就職先

ホームヘルパーとしての働き方には、大きく分けて3種類があります。

直接雇用(正社員・パートなど)

もっとも一般的な就職スタイルです。介護施設や在宅ケアサービスを提供する法人(訪問介護事業所)に直接、就職・転職します。その雇用主の指示やスケジュールに基づいて働くことになります。

登録ヘルパー

訪問介護事業所にヘルパー登録をし、勤務時間の希望などを相談しながら利用者ごとに受け持って訪問する働き方になります。日給で1日に何件かの利用者を受け持つといった働き方や、常勤で正社員のように働く働き方もあります。

派遣ヘルパー

派遣会社に所属して、派遣会社を通じて仕事の紹介を受け、ホームヘルパーとして派遣されるスタイルです。派遣元の指示やスケジュールに基づいて働きます。

直接雇用・登録ヘルパー・派遣ヘルパーと、どの働き方でも仕事内容はほとんど変わりませんが、事業所との関わり方や、収入・社会保険等の仕組みは異なります。自分に合った働き方を選びましょう!

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。この記事では、ホームヘルパーについて、試験の内容や向いている人などを解説しました。

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