「介護士は結婚できない……」「介護士との結婚ってどうなの?」
介護士は女性が多い職場でなかなか出会いがなく、結婚が難しいと悩んでいる女性は少なくありません。また、介護士の様々なイメージから、結婚に後ろ向きな評価を受けてしまうのではないか、あるいは受けてしまったと悩む男性も多くいます。
介護士は本当に結婚できない職業なのでしょうか?
今回は、結婚しにくいと言われる介護士の結婚事情について解説していきます。
介護士は結婚しにくい職業?
結論、そんなことはありません。
結婚しにくいというイメージを持たれがちな介護士ですが、実際の介護士の未婚率は他の職業と比較して特別高いということはありません。
以下は、平成29年就業構造基本調査からみる職業別の生涯未婚率です。
男性 | 女性 | |
管理的公務員 | 6.9 | 2.3 |
医師 | 9.4 | 18.9 |
看護師 | 12.1 | 13.3 |
法務従事者 | 25.5 | 9.1 |
美術家、デザイナー、写真家 | 18.3 | 40.8 |
一般事務従事者 | 14.1 | 18.6 |
事務用機器操作員 | 35.6 | 27.4 |
接客、給仕職業従事者 | 34.9 | 11.2 |
食料品製造従事者 | 31.5 | 10 |
運搬従事者 | 33.9 | 7.7 |
清掃従事者 | 39.5 | 13.2 |
包装従事者 | 59.1 | 13.7 |
介護サービス職業従事者 | 33.6 | 10.8 |
女性の介護職の未婚率は平均より低い方ですし、男性においては少し平均よりは高くなっていますが、それよりも未婚率が高い職業はいくつもありますので、決して介護士が結婚できない職業だとは言えないでしょう。
20代、30代の結婚率は低い
厚生労働省が実施した「平成30年度 労働力調査における介護職員の就業状況等について」によると、介護士の結婚率は男女ともに40代以降で60%を超えるものの、20代や30代では20%程度から始まります。
他業種、例えば一般事務職や営業職の有配偶率を見てみると、30代で70%を超えていることから、介護士の20代、30代の結婚率は低めだと言えそうです。
なぜ介護士は結婚できないと言われているのか
ではなぜこんなにも介護士は結婚できないと言われているのでしょうか?
男女別にご紹介します。
男性介護士が結婚できないと言われる理由
- 給料が低く将来が不安
- 離職率が高く、不安定というイメージ
- 3K(きつい・汚い・危険)のイメージから反対される
- 特殊な勤務体制で予定が合わない
女性介護士が結婚できないと言われる理由
- 出会いがない
- 3K(きつい・汚い・危険)のイメージから反対される
- 特殊な勤務体制で予定が合わない
介護士が結婚できないと言われるのは、男性は介護士について回る「結婚に不向きなイメージ」が主な原因であり、女性は職場の環境や勤務形態による出会いの少なさが理由のようです。
介護士の給料は低いの?
男性介護士が結婚において懸念されている「給料」ですが、実際の介護士の給料は本当に低いのでしょうか?
令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、男性介護士の平均月収は33.5万円でした。全体の男性の平均月収は44.3万円なので、比較すると確かに低いですね。
しかし、厚生労働省によって、介護職の人材不足やサービスの質の向上を目的として、介護職員の処遇を改善するために「介護職員処遇改善加算」という政策が導入されるなど、少子高齢化も見据えて、介護職の給料は見直しがされてきています。また、キャリアアップを目指せば昇給もできるため、諦めるにはまだ早いかもしれません。中には、管理職になるだけではなく自ら起業している人もいます。
ただし、キャリアアップして昇進していかない場合、そこでただ働き続けるだけでは給料が上がることはなかなかない職業ではあるため、結婚となると、結婚相手である妻にも働いてもらう必要ができてしまう場合がほとんどでしょう。
正規雇用・非正規雇用で給料も既婚率も大きく異なる
介護士と一括りにしてきましたが、正規雇用か非正規雇用かというのは非常に大きな違いになります。非正規雇用の介護士の場合、平均給与額はもっと低くなり、既婚率自体も一気に下がってしまっているのが現実です。
結婚のハードルが天と地の差ほどあるので、非正規雇用の場合は覚悟が必要です。
離職率が高いが転職もしやすい
介護士の離職率は一般と比較するとやや高いようですが、最も多い離職理由は「人間関係で問題があった」ことのようです。
また、理由の一つとして、転職がしやすい職業であることがあげられます。離職率が高い=不安定な職業というイメージに対し、実際はむしろ安定した職業です。リストラやブラックな環境によって離職率も高まっている……というわけではなく、むしろ、ライフステージの変化に合わせ、自分に合ったより良い職場が探しやすく、復職等もしやすいため転職のハードルが低いというメリットがあります。介護現場自体、人手不足であり求人もたくさんあります。
ライフスタイルに合わせて働き方が選べる職業
また、「勤務体系が特殊で予定が合わせづらい」という懸念がありましたが、介護士は非常に働き方が選びやすい職業であり、それは結婚において大きなメリットになります。
パートナーの勤務形態や個人のライフスタイル、様々な事情に合わせて職場や勤務形態を選択することで、家族にとって最適な生活ができるでしょう。子育てとの両立が非常にしやすく、また、全国どこでも働くことができるのも魅力です。
しかし、結婚以前に、土日シフトがデートの日程を合わせづらくしていたり、出会いの場へ飛び込みづらい原因になっていたりすることは難しい問題ですね。
介護士は出会いが少ない?
介護職は女性が多く、男性介護職員の割合が少ないことから、女性介護士にとっては異性との出会いの機会が少ないことが考えられます。
厚生労働省によると、2021年4月1日時点で、日本の介護保険施設における介護職員の男女比率は、介護職員総数のうち、女性が91.4%、男性が8.6%となっています。
具体的には、介護福祉士のうち女性が86.6%、男性が13.4%、ヘルパーのうち女性が96.3%、男性が3.7%です。
女性にとっては職場での出会いはあまり期待できませんが、逆に男性にとっての出会いは少なくないと言えますね。しかし、女性が多い職場であることは、男性にとっては馴染みづらく、結婚相手を見つける機会が減るということもあります。
女性介護士が結婚に悩む原因のほとんどは出会いが理由ですので、世の結婚している介護士さんたちはどんな風に出会っていたのか、出会いの方法をいくつかご紹介します。
職場での出会い
同僚や上司、利用者の家族など、職場内にはさまざまな人がいます。介護施設によっては、男性が多い職業である理学療法士がいる場合もありますし、職場内での意外な出会いは珍しくありません。
職場内での出会いの場合、同業者同士の恋愛になるためお互いの職業に対する理解が得られやすく、予定もあわせやすくなるのでおすすめです。
ただし、職場内での婚活にはリスクもあるため、しっかり注意しましょう。
職場以外での出会い
婚活イベントに参加する
シフトによってはなかなかイベント参加ができないということもありますが、時間を作ってイベントに参加することは婚活への第一歩です。また、介護士専門の婚活イベントや、医療・介護関係の職業に特化した婚活イベントに参加することで、同じような職業の人と出会うこともできます。
婚活アプリを使う
婚活アプリを使うことで、自分と同じ職業の人や、介護に関心を持っている人と出会うことができます。自分のプロフィールに介護士という職業を明記することで、同じ職業の人からアプローチを受けることもあるでしょう。もちろん必ずしも介護士でパートナーを見つける必要はありませんが、結婚後も介護士として働くつもりである場合は、介護士であることを明記した方が良いでしょう。
趣味や興味を通じた婚活をする
介護以外の趣味や興味を持つグループに参加することで、自分と共通の趣味や興味を持つ人と出会うことができます。その中で、自分が介護士であることをアピールすることで、関心を持ってくれる人と出会うこともできるかもしれません。介護士は体力を使う仕事ですので、なかなか趣味などの他のことにアクティブになるのは腰が重いかもしれませんが、出会いを広げるきっかけとして介護とは離れた場所に行ってみるのは良い方法です。
結婚相談所を利用する
結婚相談所を利用することで、自分に合った相手を紹介してもらうことができます。また、結婚相談所によっては、自分と同じ職業の人とのマッチングを重視しているところもあります。マッチングアプリなどと比較してお金はかかってしまいますが、しっかり婚活を進めたい方は結婚相談所の利用をおすすめします。
介護士はモテる?結婚向きな介護士の魅力
介護士は結婚しづらいと言われていますが、職業の印象としては良い人柄をイメージされやすいところもあります。以下では、結婚相手としての介護士の魅力をお伝えします。
優しく献身的なイメージ
介護士は、利用者さんに対して思いやりをもって接するお仕事です。認知症や、言葉に障害がある方に対しても気持ちを推し量り優しくサポートしていくことが必要なため、結婚生活においても相手の気持ちに寄り添った態度で接してくれるでしょう。
特に、男性介護士は、一般的な男性に比べて物腰が柔らかく優しい口調や雰囲気が目立つため、女性にとってその穏やかな人柄は安心感が得られやすいでしょう。
共感力を持ち、相手の話をよく聞く聞き上手な介護士はやはり男女ともに魅力的です。
責任感があり信頼できる
介護士は高齢者や障害者の生活に深く関与し、命を預かる仕事です。介護士には、その健康と安全を保つ責任があります。責任感を持って働く姿は、パートナーとしても信頼できる要素になるでしょう。利用者さんの中には気難しい方もいますし、認知症の方と向き合い続けることは忍耐力も必要であるため、介護士は辛抱強く人と向き合う力も持っています。
コミュニケーション能力が高い
介護士は、利用者さん自身やその家族と密接に連絡を取り合い、職場のチームメンバーとも連携を取りながら仕事をしています。時には施設外の方ともコミュニケーションが必要であり、また、施設によっては様々な職種のメンバーと会話をしながら進めていかなければなりません。
相手の真意をくみ取りながら、笑顔でコミュニケーションが取れる介護士は、魅力的に映ります。
家事ができる
介護士は、掃除・洗濯はもちろん、料理や整理整頓も含め、家事をスムーズにこなせることが基本です。特に、一般的に男性はできない人が多いため、男性介護士は大きく差をつけることができます。結婚後も家事に協力的であることが期待できますね。
家庭的なパートナーは、男女ともに需要があります。
体力がある
介護士は、移動介助や入浴介助などで利用者さんの身体を支えるといった、力仕事が多くあります。ゆっくり座って行う業務もあまりないため、常に動きまわれるほどの体力が必要です。
育児などの体力が必要な場面で、体力のある介護士は非常に頼りになるでしょう。
結婚後も介護士を続ける女性は多い?
結婚後も働く女性介護士は4割
厚生労働省が実施した「女性の雇用環境等に関する調査」によると、介護職員のうち結婚している女性の約4割が、結婚後も介護職員として働いています。
結婚を機に介護職を退職する理由として、介護職が肉体的・精神的に過酷な仕事であることが挙げられます。介護職には、高齢者や障がい者の身体介護や日常生活のサポート、緊急時の対応など、肉体的・精神的な負担が大きい仕事が多く、長時間労働やストレスがたまることがあるため、健康を守るためにも退職を余儀なくされる方がいるのかもしれません。
結婚後も介護士を続ける理由
勤務時間が融通が利きやすい
介護業界は、24時間体制でサービスを提供しているため、早朝・夜間・休日などの勤務が必要な場合がありますが、シフト制であることが多く、自分の都合に合わせて勤務時間を選ぶことができます。
融通が利きやすいことは、結婚後も働きやすい職業として大きなポイントになりますね。
育児休業制度が整備されている
介護業界では、9割以上が女性ということもあり育児休業制度が整備されているところが多くあります。そのため、出産後も一定期間は仕事を休んで、子育てに専念することができます。子育てを理由に離職することが多い女性にとって、育児制度がしっかりあり復帰しやすい職場は貴重です。
仕事へのやりがい
介護業界は、人との接触が多く、直接人の役に立てる仕事であるため、やりがいを感じやすい職業に違いありません。そんな介護士の仕事を長期的続けていきたいと考える人も多いようです。
まとめ
結婚できないと言われている介護士ですが、その主な理由は、男性は収入の不安、女性は出会いの少なさでした。しかし、実際の介護士の既婚率はそこまで低くはありません。最近では共働きでの結婚生活が主流になってきていますし、転職しやすく、勤務形態も選びやすいという結婚に向いている特徴も活かしながら出会いの場を増やせば、素敵な結婚ができるかもしれません。
そして、ここまで結婚という観点で介護士についてお話してきましたが、もちろん結婚相手は職業ではなくその方の人柄で選ぶべきだということは忘れてはいけません。
この記事はあくまで参考程度にご活用いただければ嬉しいです。
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